広域連携観光情報誌『motto』埼玉×長野×上越

特集 SAITAMA 「伝」~この地の歴史を語る

2019 春 Vol.48

ここ寄居の歴史と自然の魅力を
ボランティア案内人、地域の方と
一緒に多くの来訪者に伝えたい。

埼玉県北部、長瀞・秩父の玄関口に位置する寄居町。
国史跡に指定され、日本百名城でもある鉢形城と寄居町について語ってくれたのは、鉢形城歴史館館長の石塚三夫さん。
地域のボランティア案内人とともに、鉢形城を訪れる方々に、この地の魅力を伝えている。

「鉢形城は、戦国時代の代表的な平山城で、荒川の切り立った崖と深沢川の渓谷によって形成された河岸段丘上を巧みに取り入れた天然の要害です。戦国時代の地図を確認してもらうと、埼玉県、東京都、神奈川県川崎市・横浜市が当時の武蔵国。当時、関東を統治していたのが相模国の北条氏。上野国(群馬)と武蔵国の両国を統治するうえで、ここは中間に立地し、秩父への出入口などからも交通の要所でした。越後(新潟)、信濃(長野)、甲斐(山梨)といった周辺国との国境、防衛、交渉においても、鉢形の地は重要な役割を担った拠点だったのです。」

天然要害であったため、城下が直接戦火に巻き込まれることも少なく、城主の北条氏邦は、城の整備拡張、城下の整備を進めていった。「城周辺には、殿原小路、新小路、鉄砲小路、鍛冶小路、御弓小路、内宿・荒宿など城下町が整備された跡があり、大層賑やかであったことでしょう。また最近の調査で、八つの薬師が計画的に配されていることがわかり、都市基盤があったことが裏付けられました。普段は商業をする足軽や有事の際は軍役を果たす在地農村の領主などもいましたので安定した暮らしと都市の形成がされたと推測されます。」

軽妙洒脱に郷土愛を語る石塚さんに寄居の魅力を尋ねると、「ここは歴史と武蔵国の自然、景勝が融合した地。県名勝「玉淀」や内堀の代わりになった深沢川には町名勝の「四十八釜」も。
3月下旬から4月初旬は、樹齢一五〇年以上を超える桜エドヒガン(愛称:氏邦桜)とカタクリの花も咲き誇ります。ゆっくり散策しなら歴史と自然を感じてほしいですね。」

<石塚館長からのメッセージ>
建物は残っていませんが、ボランティア案内人の制度<予約制>がありますので、お気軽にご依頼ください。古地図を思い浮かべ、歴史、自然、景観も楽しみに是非おでかけください。


鉢形城公園・鉢形城歴史館
住所/埼玉県大里郡寄居町大字鉢形2496-2
TEL/048-586-0315
開館時間/9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日/月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日
※公園は常時開放・無料
http://www.town.yorii.saitama.jp/site/rekishikan/