本をはさんで親子で話そう


Chapter 2言葉がわからなくても読み聞かせの意味はあるの?
言葉のわからない赤ちゃんに、本を読むことでどんな効果があるのでしょうか?
読み聞かせの始め方と、0歳からの読み聞かせについてのお話です。
M村
「0歳からの読み聞かせ」といえば、さいたま市では「ブックスタート」を実施していますよね。
正直最初は「0歳の赤ちゃんに(絵本の読み聞かせは)ちょっと早いんじゃない?」なんて思いつつ、書店で売っている定番の絵本が無料でもらえると聞き、利用させていただきました(笑)
無料って魅力ですもんね(笑)。
お一人目のお子さんだと、『じゃあじゃあ びりびり』でしょうか?
Sさん
M村
ええ、そうです。
すごくしっかりした厚紙の絵本で、「ああ、これなら赤ちゃんにビリビリにされることはないなぁ」と。おかげで、「ブックスタート」の絵本が娘のファースト絵本になりました。
タイトルは「びりびり」なんですけどね(笑)
ところで、実際に赤ちゃんに読み聞かせをしてみて、どうでした?
Sさん
M村
はじめて絵本を読み聞かせしたのは、0歳の確か、5~6カ月くらいだったと思います。
最初は膝に乗せて抱っこしながら読んでいたんですが、絵本を見ないで後ろを向いて私の顔ばっかり見るので、よーしそれなら、と次から向かいあって読んでみたんです。
そうしたら、顔を上げ下げしながら、私と本を交互に見るようになり、本を叩いたり、めくったりと、反応が変わって、ちょっとびっくりした覚えがあります。
きっと、目の前のこの四角いモノ(絵本)と、お母さんの声や表情に関係がある、ということがわかって、(本に)興味が出てきたんですね。赤ちゃんは言葉はわからなくても、お母さんの声や表情の反応の変化をちゃんと見ています。
赤ちゃんが本を見なかったり、なめたりかじったり、叩いたりするのはごく自然なんです。初めて目の前に出されたその四角いモノ(絵本)が、自分にとって楽しいものかどうかなんてわからないんですから。
Sさん
M村
なるほど。赤ちゃんにとっては、新しいおもちゃと同じなんですね。でも、おもちゃと違って本は、絵が書かれた紙にすぎないわけで。めくると絵が変わるとか、見るとママの声が聞こえるとか、そういうことがわからないと面白いとも思えないし、興味が出ない。
ああ、だから本を見せるだけじゃなく「読んであげる」ことが大事なんですね!
そうです。だから「読み聞かせ」といっても、別に本に書かれた文字を読むことばかりにとらわれず、歌をうたったり、絵を見ながら笑って話しかけてあげてもいいんですよ。
赤ちゃんへの読み聞かせは、「絵本に書かれた物の名前を教えたり、言葉を教えるためにするもの」ではなく、「お母さんの声を聞かせて、一緒に楽しい時間を過ごす」ことが一番の目的なんです。
Sさん
M村
そういえば、前回のお話で、「本を読むチカラ」の基礎づくりの第一歩は、“本=楽しいもの”というイメージを持たせてあげること、という話がありましたが、赤ちゃんにとっては一番安心できるママと結びつくことで、「絵本=楽しい」となるのかもしれませんね。
ところで、0歳くらいの赤ちゃんがよろこぶ絵本って、どんな絵本なんでしょう?
赤ちゃんの発達は目よりも耳の方が早く、色あいの認識はその後にできてくる、といわれています。ですから、“色や形がシンプルでクッキリとした絵で、言葉にリズムがあり、見開きで完結するもの”がいいですね。
M村さんが「ブックスタート」で手にされた『じゃあじゃあ びりびり』は、まさにその典型的な絵本なんですよ。
Sさん
M村
あ、ホントだ。
色もビビッドではっきりして、言葉も「みず じゃあじゃあ」「かみ びりびり」とか、擬音でリズムがありますね。見開きで完結するから、どこから読んでもOKなんですね。
あと、初めての絵本としてよく紹介される、『いない いない ばあ』のように、次ページと1セットの展開の絵本も、赤ちゃんがよろこぶ絵本のパターンです。『でてこい でてこい』もそうですが、読み聞かせをしていくうちに、ページをめくる前に「何がでるかな?次はどうかな?」と予想するようになるので想像力も育ちますし、お母さんにとっても赤ちゃんの反応が楽しめる絵本だと思います。
ただ、赤ちゃんでも好き嫌いがありますから、良いとすすめられた本でも反応が悪いこともあります。そういう時は無理せず本を変えてみてください。いろんな本を試すうちに、きっとお子さんの好みの「ツボ」が見えてくるはずです。
Sさん
M村
赤ちゃんの絵本は汚れも気になるし、繰り返し読むものなので、できれば手元に置きたいのですが、せっかく買っても気に入らないとショックですよね。
そういう点では、まず図書館でいろんな本を試して、「これは!」という反応があったら買うようにするというのも、ひとつの手かもしれませんね。
そうですね。図書館にはたくさんの絵本、それも長い間愛され続けた絵本がたくさんありますから、お子さんの好みの本がきっと見つかると思いますよ。
さいたま市の図書館では「あかちゃんおはなし会」や地域での楽しい子育てを応援するためのいろいろな活動に取り組んでいます。ぜひ、お気軽に赤ちゃんと一緒にご来館くださいね。
Sさん
第2回インタビューを終えて
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絆アベニュー
編集部員 M村 核家族化が進み、「赤ちゃんとのつきあい方がわからない」と悩むお母さんが増えているそうです。「赤ちゃん相手に何を話せばいいの?」「どうあやせばいいかわからない」そんなときこそ、絵本の出番。とりあえず赤ちゃんを前に、絵本に書かれた言葉を読むことから始めてはどうでしょう。
0歳からの読み聞かせは、実は現代のママにとって、赤ちゃんと上手に付き合うひとつのお助けツールといえるのかもしれませんね。
さて次回は、「1歳から2歳の読み聞かせ」について。言葉を覚え始めるこの時期、絵本を使ってどのようにコミュニケーションをとっていくかについて考えます。どうぞご期待ください!
読み聞かせ動画
せんのすけくん(10カ月)が「じゃあじゃあびりびり」を楽しんでいる動画です。
お子ログの運営者さんにご協力いただいきました。
ブックスタート
「赤ちゃんと本を通して楽しい時間を分かち合うこと」を応援し、一人ひとりの赤ちゃんに、絵本を開く楽しい体験といっしょに、絵本を手渡す活動です。
地域に生まれたすべての赤ちゃんを対象に、市区町村自治体の活動として、0歳児健診(さいたま市では4カ月検診のお知らせに絵本の引換券を同封)などで実施されます。
※実施内容は、自治体によって異なります。詳しくは各市町村にお問い合わせください。
あかちゃんおはなし会(さいたま市図書館)
0歳から3歳までの赤ちゃんとその保護者を対象に、さいたま市の各図書館を会場に行われる、おはなし会です。
絵本の読み聞かせ、手あそび、わらべうた、パネルシアターなどが行われます。
※利用には事前申し込みが必要です。詳しい実施日程などについては、さいたま市図書館の各図書館のイベント情報をご参照ください。
今回のお話に登場した絵本
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じゃあじゃあ びりびり
作・絵:まつい のりこ
出版社:偕成社(1983年)
価格:600円(税別) -
いない いない ばあ
作:松谷 みよ子
絵:瀬川 康男
出版社:童心社(1967年)
価格:700円(税別) -
でてこい でてこい
作・絵:はやし あきこ
出版社:福音館書店(1998年)
価格:700円(税別)